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2006年10月17日
中華民国(台湾)宜蘭縣 妙照院
異境の地に拡がる僧俗和合の信心
地道な育成がもたらした折伏の進展
妙照院の所在地・宜蘭縣は、台湾の東部に位置し、台北(タイペイ)から車で一時間、電車で一時間半ほどの距離にある。今年六月に高速道路が完成したことによって、台北市内への通勤が可能になったため、新しい住宅の建築も盛んになり、宜蘭に移住する人も増え始めた。
妙照院は、台湾東部の約三分の二を管轄し、現在、約一一〇〇人の信徒を擁している。
妙照院の前身である東台布教所は、平成十四年(西暦二〇〇二年)六月二十三日、台湾東部信徒の信心の拠点として、宜蘭縣の中心都市である宜蘭市と羅東鎮のほぼ中間地点、両方の中心地から車で二十分程度という、交通至便な立地条件の地に設立された。そして、それから二年半後の平成十六年十一月二十九日には、晴れて第六十七世日顕上人猊下の御親修を賜わり、山院号公称・板御本尊入仏法要を奉修することができたのである。
この御親修では、それまであまり普段の活動に参加していなかった信徒も、積極的に準備に加わり、僧俗和合の気運をいっそう高めることができた。
台湾には現在、正宗寺院が五ヶ寺あるが、台湾全土の正宗信徒は一つの法華講に統括される。そして、実質的には本興院(台北市。平成八年に建立)のリードによる強固な一体感をもって、現在までの発展を遂げてきた。たとえて言うならば、子供が親に頼るように、本興院の力を頼り、成長してきたのである。
しかし、御親修等を契機として、それぞれの寺院を核とした僧俗和合の体制が盤石なものになりつつある現在は、布教の形態にも少しずつ変化が出てきた。今後の方針としては、良い意味で各寺院が自立心を高め、寺院ごとの活動に力を入れることによって、台湾全土に、これまで以上に僧俗和合の信心を定着化させていくことを目ざしている。
進展の鍵となった三つの活動
そうした上から、妙照院においては、御住職の佐藤信俊御尊師が、今まで達成することのできなかった折伏目標を何としてでも達成することを念願し、日如上人猊下の「まず我々が動かなければだめだ」との御指南を受けて、寺院としての新たな活動を三つ設けた。
その一つ目は、青年部唱題会の実施である。
これは、通常の地区の家庭訪問や唱題会とは別に、特に新入信者や活動から遠ざかっている人を対象として、月一回、青年部の家庭訪問兼唱題会を実施し、活動への参加の呼びかけや信心の激励をするもので、その成果は徐々に現われてきている。
二つ目は、四地区のそれぞれで行なわれる月一度の唱題会へ、御住職が参加することである。
これは、交通手段を持たない年配者など、寺院で行なわれる御講や唱題会等に参詣できない信徒も多いため、そのような信徒と触れ合う機会を一度でも多く設けることが育成の近道である、との考えから始めたものだという。始めたばかりの頃は、寺院で行なわれる唱題会の顔ぶれとあまり変わらない状況だったが、「来月は一人が一人を連れて来よう」「自分のためだけの唱題であってはいけない。他の人を導くための唱題をしよう」等の御住職の指導によって、最近では、新しい方達の参加も増えているのである。
三つ目は、第一日曜日に、広布祈念唱題行に引き続き、折伏活動の日を設けたことである。
この日は、唱題行終了後、地域別に打ち合せをしてから折伏に出発し、夕の勤行には寺院に戻って活動状況を報告し合うのであるが、これによって、折伏の経験がなかった人や新入信者も、経験の豊富な信徒と共に折伏を体験することができ、全体に折伏の意欲を高める絶好の機会になっているという。
そして、こうした活動の結果、妙照院の本年度の折伏は、九月末現在で八十四名の成果が出ているのである。
国の違いはあれど心は一つ
もう一つ、台湾特有の法華講の活動として、公益慈善活動がある。
ちなみに、中華民国(台湾)には日本のような「宗教法人」の制度がないため、日蓮正宗の団体は「財団法人」として認可を受けている。そして、財団法人の場合は、ボランティア活動をすることが条件づけられているのである。
妙照院では、御住職を筆頭に信徒達が集まって、定期的に管轄地域内の海岸や公園の清掃を行なっている。なお、信徒数の多い本興院や法宣院(高雄市)では、年に一〜二回の献血も行なっているという。
日本と違い、台湾においては、日蓮正宗は外国の宗教と見られる。当然、一般社会の認知度も低い。そうした中にあるからこそ、ボランティア活動はまた、間接的な意味での布教活動の一環ともなるのである。
それについて、佐藤御尊師は、「私達、台湾の僧俗は、こうした活動を通しても、日蓮正宗の社会的信頼度を高め、今後の布教に役立つよう努力しております」と語る。
また、佐藤御尊師は、「日蓮正宗を弘めるための国の制度や民衆の機が、まだまだ整っていないという現実はあるが、他宗教が政治の中心となっている国などに比べれば、台湾は、限りなく日本に近い環境で布教できております」とも言われる。こうした言葉にも、台湾の地に、麗(うるわ)しき僧俗和合の信心が深く根ざしつつあることがしのばれるではないか。
そして、この地でも、平成二十一年に向け、「名実共に地涌倍増」を目ざして、着実に歩みを進めているのである。